「電話占いで騙されました」というトラブルが多数報告されているようだ。

電話占いに限った話ではなく、占いというジャンルは、昔からこの手の「騙されました」という被害報告が多く発生するものであることは言うまでもない。

だから、電話占いにおいても「騙されました」というトラブルが報告されるようになったのは、ある意味当然のことであるといえるだろう。

昨今では、占い師の洗脳による大金の詐欺や、そこから発展する殺人事件なども大きなニュースとして取り上げられることがあり、こういったニュースの注目度から、電話占いの危険性が懸念され、指摘されるという傾向も強まっているだろう。

今回は、そんな電話占いにおける「騙されました」という報告から見えてくる金銭トラブルがどんなものであるかを整理したうえで、騙されることなく電話占いと関わっていくためのコツや考え方などを根本的な部分から考察していきたい。

騙されたくないと思っている人は、失敗しない電話占いランキングを先に覗いてみるのもいいと思う。

電話占いを信じることがなければ電話占いで騙されることはない

まさに「鰯の頭も信心から」だが、「騙されました」という結論に至るためには、まず先行して「信じていました」という前提が必要となることはいうまでもない。

「信じる者は救われる」という結論にたどりつけばハッピーエンドだが、「信じていたのに騙されました」になった場合にバッドエンドということになる。

電話占いにおける騙される事案については、明らかに占う側に問題がある「悪質なケース」と、占われる側の心持ちによって左右される「自業自得のケース」の二つにまずは分けることができると思う。

今回の記事では、報告された累計的なケースの「両面」をなるべく考慮していきたいと考えている。

そのうえで、まずこの「信じていたから騙されました」という大前提をめぐる、いわば「身も蓋もない話」からしておきたいというのが正直なところだ。

そして、これ以外には何もないとさえ考えている。

なぜなら、この大前提をおさえておけば、絶対に騙されるということは起こらないからだ。

「占いというジャンルそれ自体を拒否する」か、「当たるか当たらないかという基準で占いと関わらない」という二つのスタンスをとれば、「騙されました」などとのちのち悔やむことはまずない。

前者は説明不要だろう。

占い自体を拒否するのだから、電話占いにも関わらない。

占いダメ絶対。

だから騙されない。

シンプルな話だ。

では、後者はどうか?

これは「占いを信用しすぎず気楽につきあう」という選択肢である。

これはたとえば、「朝のニュース番組の占いコーナーを軽く気にしてみる」くらいのスタンスだと理解されたい。

(もちろん、本気の人もいるだろうが)あの手のミニコーナーとしての占いで提示される「ラッキーアイテム」などは荒唐無稽であることが多いし、占い内容は、あまりに対象が広範囲すぎて「まあ、ちょっとは気にしとくか」くらいの適当さで受け取る人がほとんどだろう。

もちろん、お金も支払わない。

電話占いにおいても、このラフなスタンスを維持しておけば、「騙されました!」などと主張するなく、「まあ、占いなんてそんなもんだからね」という適度な距離感でつきあうことが可能だろう。

この「信じないこと」と「信じすぎないこと」をまずは前提として、ここから先は「信じてしまった人たち」が実際に「騙されました」と感じたり、実際にそうであったケースを見ていくことにしよう。

電話占いのトラブルはほとんどが金銭トラブルである

電話占いにおいて「騙されました」という報告では、やはり「高額な請求がありました」というパターンがもっとも多いのではないかと思われる。

電話占いというのは、新規登録者が「初回無料」で占ってもらえるというサービスを展開しているところがほとんどであるため「無料だと思ってたのに請求が来て騙されました」というケースがかなり多く報告されている。

これに関しては「タダより高いものなんてない」の一言で済む話である。

占いに限った話ではない。「すべての無料コンテンツは課金コンテンツの誘導のためにのみ開かれている」と肝に銘じておこう。

それが救済のための宗教的な行為や、利他的なボランティアでもない限り、無料というのは「善意」や「慈善」ではなく、「悪意」であり「沼へのいざない」なのだ。

「商売」である電話占いが「善意」で無料体験を提示してくれていると考えるのは、あまりにも頭がお花畑だといわざるをえない。

初めから「電話占いというのは時間に応じて請求額が増えていくものである」という根本的なシステムを利用前に知っておけば「騙されました」などと言うことがない事案であるだろう。

「無料体験だと思ったら請求された!騙されました!」とならないためには、ストップウォッチなどを持ったうえで利用し、制限時間がくると同時にどんな会話の途中でも電話を切るなどの対策がよいだろう。

この場合、悪質なのは「時間と同時に乱暴に電話を切るユーザー側」になるだろうが、この方法を使えば、「無料体験」ができる電話占い師のもとを転々と移動しながら、騙されずに無料体験を延長することが可能だ。

そしてこれは「当たる/当たらない」という結論にはまったく興味がないという姿勢がなければ維持できない戦略だろう。

多少なり電話占いを「信じたい」という気持ちがあり、「悩みを解決したい」という切実さがあるのならば、「すべてを理解したうえ」で無料体験のさきにいって、納得のいくまで課金をすることをオススメする。

電話占いという言葉の売買には価値決定の基準がない

電話占いにおける金銭トラブルにおいて、電話占い側が悪質なケースとしては「会話を引き延ばして課金額を引き上げようとする」というものが、報告の大半を占めているといってよい。

じつは「当たるか当たらないか」は二の次で、「当たろうが当たるまいが高額請求がきてしまった!」という事実が「騙されました」という結論の言葉に結実するのだ。

実際、占いが多少当たった、あるいはドンピシャで当たったとしても、それがもし「想定を超えた高額請求」と感じられたなら、「騙されました」というのが「ユーザー側の本音」である。

これは、「話し言葉」という本来は「お金とは等価になりえないもの」を、「お金に無理やりに変換しようとすること」で生じる避けられない齟齬である。

これが「占い」ではなく「野菜」や「肉」だとしたら「この食料品にはこのくらいの値段」というおおまかな共通の理解や基準があり、それに応じて納得できるかどうかの判断もある程度は簡単にできる。

だが、「言葉」というのは「風」のようなもので、それにどのくらいの値段がふさわしいかなんていうことは、誰にもわからない。

電話占いというのは「合ってるかどうかわからない話し言葉」という「ほとんど空気に近い曖昧なもの」を売る仕事なので、この基準がないものに時間制で価格をつけていかなければならないし、そういう根拠がないものをユーザーは通話時間に応じて購入するのである。

「1本180円が相場の大根を1万円で買ってしまった!騙されました!」は成立する。

だが、占いに関しては「1万円」という価格が「ふさわしい」のかもしれず「高すぎる」のかもしれない。

この「ふさわしい」か「高すぎる」かを、まずは「当たった/当たっていない」で判断することもなるのだが、ユーザーとしては仮に「当たった」ものであっても「高すぎる!」と感じることがあるだろう。

占いにはここまでしか出さないという金銭的限界を設定しよう

これはどちらかに非があり悪質だと割り切れる話ではない。

非があり悪質なものがあるとすれば、それは「貨幣というものを使用した交換システム」それ自体が原理的に抱えこむ問題にこそあるとしかいえない(大根も本来は占いと同じである)。

「言葉という価値基準がないものだからこそ、ここまでならふさわしいと思える金額」をあらかじめ自分のなかで設定しておき、金銭的限界を決めておく。

これくらいしか「騙されました」と嘆くのを避ける対策はないのではないだろうか。

もちろん、「通話時間に応じて課金額が増えていく」ことを知っていてあえて会話を引き延ばし、本題に入らない電話占い師が悪質である。

これは間違いなくそうである。

だが、悪質であると同時に、それが電話占い師にとっては「収入」になるのだから、商売人として(あるいは詐欺師として)当然の「生き馬の目を抜くテクニック」であるともいえる。

こうして私の結論は、冒頭の大前提である「まったく信じない」か「信じすぎない」という態度なら「騙されない」という地点にまた戻り、堂々巡りすることになる。

「騙されました」といわないために、自分の判断基準をつくり、その基準に責任を負うかたちで利用するしかない、ということではないだろうか。

投稿者 admin